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金曜日
第1章 プロローグ



「うーん、寒い!」



街の灯りはほとんど消えてる、この時間。



待ち合わせの時間からすでに3時間が経っても



彼は現れない。



(バスも無くなっちゃたし、今さら家に帰れない。)



(地下鉄もそろそら終電だな。)



「ふぅー、寒い。」



(もう少し厚着して来れば良かったなー。)



なんて、思ってたら



目の前に白色のバンが停まった。



降りてきたのは、私の待ち人。



『帰ったかと思ったけど、お前なら待ってるかな?って(笑)』



私とは頭ひとつ違う上から、顔を覗きこんで頭をポンポンしながら



『悪かったな、会議終らなくて。』



「うん、わかってたから待ってた。」



「逢いたかったし。(笑)」



『そっ、良かった逢えて。』



『飯は?』



「ちょっと食べた。」



『俺、腹ペコ。コンビニ寄る。』



彼の家までの道のりでコンビニに寄り



おにぎりやら飲み物を買い



『で、帰る?帰るなら送るし。』



逢いたかった、って言ったのに送る?って?



ちょっと膨れっ面で彼をにらむ!



『逢えたし?帰る?』



まだ、送って行くつもりなの?



ちょっと悲しくなって、目がウルウルしてきた。



『冗談だって、泣くなよ~。』



「だってー、イジワルー!」



コンビニの駐車場なのに、



店の前だから、車の中だけど明るいのに、



頭をよしよしされながら、



『チュッ。』



普段、絶対、公衆の面前では他人の振りの彼が



キスしてきた!



めちゃめちゃ驚いた私の涙は



一瞬で引っ込んじゃった(笑)







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