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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第8章 不測の淵

「その考えが思い上がっているというのだ! 私の立場を考えてみよ。私は中殿と同じ、先王殿下が世子の時代に世子嬪(びん)として入内し、正妃に立てられた。正室が側妾からの同情を受けて歓ぶとでも思うのか! 少しばかり主上に寵愛されているからと良い気になるでない。懐妊するまで中殿がそなたの存在にどれほど心悩ませたか、気鬱の病になり果てるまで、そなたがあの可哀想な娘を追い詰めたか、そなたは知るまい。中殿は我が姪であり、幼いときから手許で娘同様に育てた嫁であった。その嫁を苦しめ泣かせ続けたそなたを私が許すとでも? 憐れにも早死にした中殿に代わって私がそなたを終生憎み続けてやるわ」

