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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第9章 夢でも
「大妃さま、中殿さまはある人物を殊の外怖がっておいででした」



「中殿が怖がっていた?」



 大妃の眼が光った。楊尚宮でさえ、ゾッとするほどの酷薄な眼だった。




「中殿は国王殿下の妻であり、国母ではないか。この国至高の女人が畏怖するような者がいるとは考えられぬが」
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