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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第2章 焔の花の中で~邂逅~
四つ辻はちょっとした広さがあり、広場のような様相を呈している。右側に小体な酒場らしきような建物があるが、生憎と今日は休みらしい。二階家になった建物は四方、きっちりと板戸が閉てられている。
広場の中程に簡素な囲いで囲われ、桜が植わっていた。明らかに人の手になるものだ。かなりの樹齢らしく、巨きな桜は今、薄紅色の花を重たげにたっぷりとつけている。薄紅といっても、一つとして同じ色はない。どの花も微妙に濃淡が違い、中には眼を惹くほど鮮やかな紅に染まった花もある。
広場の中程に簡素な囲いで囲われ、桜が植わっていた。明らかに人の手になるものだ。かなりの樹齢らしく、巨きな桜は今、薄紅色の花を重たげにたっぷりとつけている。薄紅といっても、一つとして同じ色はない。どの花も微妙に濃淡が違い、中には眼を惹くほど鮮やかな紅に染まった花もある。