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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第9章 夢でも

「後宮に生きる王の女たちは皆、おしなべて同じだ。中殿と呼ばれた私でさえ、仁祖さまの側室たちの存在には日々悩まされたものだ。そなたが国王殿下のお側にいたいと願う限り、その葛藤は避けて通れぬ道なのだ。そして国王はたとえ自らが望んだとしても、ただ一人の女に心を傾けることは許されぬ。何故なら、王が一人の女だけを寵愛すれば、後宮での女たちの争いが熾烈になり、引いては表の朝廷にまで余波が及ぶからだ。古来、王が寵姫に溺れた御世は国が乱れると相場が決まっておる。主上を真にお慕いしているならば、己れの立場をわきまえ、受け入れることも大切だと心得よ」

