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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第2章 焔の花の中で~邂逅~
少女は唇に歯を立て、うつむいた。人と人の繋がりに身分など関係ない。それに私は主筋とはいえ、あの子と同じ隷民だ。あの子はずっと伯母に罰として食事抜きにされる度、私に内緒で食事を運んできてくれた。伯母に見つかれば、あの子自身が酷い折檻を受けるというのに、危険を顧みずに運んでくれたのだ。
人の価値というものがもしあるとすれば、それは身分などではなく、心の持ちようで決まるのではないか。だとすれば、美しく着飾ることしか頭にない伯母より、スヨンの方がよほど敬い大切にされるべき人間のように思える。
人の価値というものがもしあるとすれば、それは身分などではなく、心の持ちようで決まるのではないか。だとすれば、美しく着飾ることしか頭にない伯母より、スヨンの方がよほど敬い大切にされるべき人間のように思える。