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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第2章 焔の花の中で~邂逅~
幾ら眼をこらしても、あの少女はもういない。ある日、風のように現れ、そして今宵、満月の下で咲き誇るこの桜の花びらのように儚く消え去った。
スンは煌々と輝く月を見上げ、長い吐息をはき出した。今宵は月が随分と近い。
蒼ざめた月の表面に刻み込まれた文様まで、克明に見て取れるようだ。彼は手のひらをゆっくりと開いた。桜貝のような花びらが一枚、大きな手のひらにチョコンと乗っている。
まるで、オクチョンのようだ、と、彼は一人で微笑んだ。
スンは煌々と輝く月を見上げ、長い吐息をはき出した。今宵は月が随分と近い。
蒼ざめた月の表面に刻み込まれた文様まで、克明に見て取れるようだ。彼は手のひらをゆっくりと開いた。桜貝のような花びらが一枚、大きな手のひらにチョコンと乗っている。
まるで、オクチョンのようだ、と、彼は一人で微笑んだ。