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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第3章 愛する男の正体~再会~
 その分、彼女は伯父の屋敷に残してきた母のことが気に掛かった。母は美人で、大人しかった。伯母はいつまでも若くて綺麗な母を余計にやっかみ、八つ当たりばかりしていた。自分は伯母の手を逃れて宮殿で安穏としていられるが、母は今もあの屋敷で鬼のような伯母に口汚く罵られ、こき使われているだろう。そう考えただけで、伯父の屋敷に飛んで戻りたくなる。


 しかし、今は一生懸命に働いて、少しでもたくさんのお金を貯めることが先決だ。女官は原則として一生奉公である。後宮は国王ただ一人の男のために美しい女を集めた花園ともいえる。女官はその花園に咲く一輪の花だ。

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