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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第13章 恋しさの香り
「そのように仰せになって戴くと、余計に身の縮む想いです」





 匙を差し出すと、大妃の面に面はゆそうな表情が浮かぶ。使用人にも厳しく神経質な大妃がこのような無防備な笑顔を向けるのは、息子に対してだけだと、長年、大妃の側にいる尚宮は知っていた。
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