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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第14章 孤独な選択
 オクチョンの支度はまだ陽が明るい中から始まった。まずは湯浴みである。湯殿には満々と清潔な湯を湛えた浴槽が準備され、緋薔薇(ひそうび)の花びらが浮かんでいる。





 良い香りのお湯に浸かったオクチョンの身体を女官が数人がかりで磨き上げた。湯船に浸かったオクチョンは、ほっそりとした指の先で湯面をゆらゆらと漂う深紅の花びらをつまんだ。
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