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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第16章 西からの使者
 念を押され、ウォルメは頷いた。




「心得ております」






 今日も宮殿前の広場から続く大通りはたくさんの人で賑わっている。申尚宮はウォルメの後ろ姿がその人波に呑まれるまで見守っていた。だから、ウォルメの姿が見えなくなったと同時に、同じように外套を目深に被った女がウォルメの後を追っていったのを見ることはなかった―。
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