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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第16章 西からの使者
「何を泣く?」



「スン、怖いの」



「怖い、とは?」



 スンの問いに、オクチョンは黙って泣き続ける。スンが焦れたように言った。




「オクチョン、泣いているだけでは判らぬ。そなたは今や世子の母であり、嬪の地位にある。そのそなたを脅かす者がこの国のどこにいるというのだ?」
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