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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第16章 西からの使者
 立ち上がった王を王妃はもう引き止めず、見送ろうともしなかった。



―優しかった殿下がお変わりになってしまった。



 王妃は絹の夜具に顔を埋め、声を殺して泣いた。





 何故、王は自分の言葉をちゃんと聞いてくれないのだろう。先刻、王妃は言った。
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