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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第16章 西からの使者
 中宮殿を出た王妃は正門前から輿に乗って実家に戻る手筈だ。オクチョンは正門へと真っすぐに歩く王妃を遠巻きにしていた。丁度、王妃が中宮殿を後にした頃から、雨が降り始め、この薄幸の王妃を天までもが悼んでいるように見えた。





 オクチョンが固唾を呑んで見つめる中、ふと、王妃のたおやかな歩みが止まった。何を思ったか、王妃がつと振り返る。
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