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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第2章 焔の花の中で~邂逅~
「スヨン―」
少女はその場にくずおれるように座り込み、妹のように可愛がっていた幼い下女の名を茫然と呟いた。次の瞬間、声高に叫ぶ。
「お願い、あの中にまだ人が残っているの。幼い子どもがいるの。誰か助けて」
しかし、これだけの見物人がいるというのに、誰もスヨンを助けようとする者はいない。彼女は絶望を宿した眼で大勢の野次馬をひととおり見、更に後ろを振り返った。
紅蓮の焔はますますふくらみ、恐ろしいほどの勢いで屋敷を舐め尽くそうとしている。
少女はその場にくずおれるように座り込み、妹のように可愛がっていた幼い下女の名を茫然と呟いた。次の瞬間、声高に叫ぶ。
「お願い、あの中にまだ人が残っているの。幼い子どもがいるの。誰か助けて」
しかし、これだけの見物人がいるというのに、誰もスヨンを助けようとする者はいない。彼女は絶望を宿した眼で大勢の野次馬をひととおり見、更に後ろを振り返った。
紅蓮の焔はますますふくらみ、恐ろしいほどの勢いで屋敷を舐め尽くそうとしている。