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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第8章 不測の淵
「何と赤児がこのように愛らしきものだとは今まで考えたこともなかったが」


 十九歳の若い父親は、素直に感嘆混じりの吐息を洩らす。だが、待望の初孫を腕に抱いたにしては、大妃の顔色は今ひとつ冴えない。



 王は母の顔色を窺うように見た。




「母上、いかがなされましたか?」
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