この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第8章 不測の淵

「―」
言葉もないオクチョンに、大王大妃が囁いた。
「これからは特に心するのだ。皆がそなたの出方を興味津々で見守っておることを忘れるな。出る杭は打たれるというのがこれまでの後宮のあり方であった。さりながら、これまでそなたに誰も手出しができなかったのは、ひとえに主上の寵愛が殊の外厚かったからだ。とはいえ、王の母たる大妃がそなたを本気で打ちにかかれば、流石の主上もそなたをどこまで守りきれるかは判らぬ。そなたもよう存じておろうが、主上はひとかたならぬ孝行息子ゆえ」
言葉もないオクチョンに、大王大妃が囁いた。
「これからは特に心するのだ。皆がそなたの出方を興味津々で見守っておることを忘れるな。出る杭は打たれるというのがこれまでの後宮のあり方であった。さりながら、これまでそなたに誰も手出しができなかったのは、ひとえに主上の寵愛が殊の外厚かったからだ。とはいえ、王の母たる大妃がそなたを本気で打ちにかかれば、流石の主上もそなたをどこまで守りきれるかは判らぬ。そなたもよう存じておろうが、主上はひとかたならぬ孝行息子ゆえ」

