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第1章 珈琲の香りに誘われて

……ああ、良い匂い……。

堪らない。

入っちゃおうかな。

どうしようかな……。


｢……｣


私、睦月 季美花は喫茶店の前で立ち止まったまま財布を開いて考え込んでいた。

今月の生活費、残金500円……。

珈琲1杯350円だとして、明後日の給料日まで食べていける？

いや、無理でしょ！

ここは我慢するべき！

でも。……でもでもでも……。

ああ、良い匂い～。