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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
「これで一通りの確認は終わったか?」
「ああ、そうだと思う」

その日、男は領主の息子と、新しく開く土地に関する契約の確認をしておりました。
図面と書類だけでなく、念の為実際に様子も見て双方の合意を得た方が良いだろうと言うことで、二人で現地に出向いています。

「落葉して見通しが良くなっているとはいえ、かなり茂っているなあ。開墾は骨かもしれないな」
「その代わり土は肥えてそうだ。人手をかけりゃあ問題ねぇだろ」
そう言いながら、男は無意識に溜め息を吐きました。
仕事は順調なのですが、他の事が順風満帆で有れば有るほど、ふとした時に女の悲しげな様子が頭を過ってしまうのです。

「おいおい…大丈夫か?お前の家での集まりの後、しばらく落ち着いていたと思っていたが…今度は、どうした?まさか、女に結婚を申し込んで、断られでもしたのか?」
「…お前と一緒にすんな」
陽気にからかわれて、男は友人をうるさそうにあしらいました。以前は良く一緒に遊んだりもしましたが、男が女と出会って以来、行動を共にする事は以前よりも少なくなっていました。
その代わり、仕事で顔を合わせる頻度は、増しては居たのですが。
男が素っ気ない態度を取ったにも関わらず、友人は全く気にしていない様子で、照れくさそうな笑顔を見せました。

「いや…実はなぁ」
「え?」
「結婚が決まった。北の領主の三女だ」
「何だと?!」
その令嬢なら、世事に興味の無い男でも知っておりました。北の地には美女と名高い三姉妹が居り、住まっている北の地に因んで、それぞれが麗氷の百合・鈴蘭・薔薇と呼ばれておりました。
長姉は婿を取って家を継いでおり、次姉は昨年嫁いだと聞いておりました。
末娘が誰に嫁ぐのか、酒の席でも度々話題になっていたのです。

「いつの間に…噂の的の令嬢じゃねぇか。良く承諾して貰えたな」
「まあな…と、言いたい所だが、お前のお陰も少し有る」
「俺の?」
「ああ。お前が家業を拡大してるお陰で、我が家の仕事も大きくなっているだろう?しかも、代替わりする事にもなったしな。先方の父上が、それを評価して下さった。父上よりもむしろ、娘の方が手強かった位だ」

冗談めかして言ってはおりますが、それなりに大変な思いもした末の婚約でしょう。全身から喜びを溢れさせているかのような友人の様子に、男も嬉しくなりました。
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