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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
「なんだって?!なんでそんな事を!」
「私は、石女ですもの。仕方ないのよ。嫁いでもう三年経つけれど、一向に兆しが無くて…毎回、怒らせて…」
「…なんて、酷ぇ事を…!」
「いいえ、私が悪いの。妻の役割は何よりも、跡継ぎを産む事でしょう?」
「そんな事無ぇだろ!!」
「だけど、役目を果たせないのが、辛くて…いっそ離縁してくれれば良いと思ったことも有ったのだけれど…家同士の経緯が有って、無理で…」
女は掛け布で体を隠したまま、身を起こしました。

「今までは、時々夫の名代で出掛ける時だけが、私が生きてると思える時だったわ」
「今まで?」
「今は…貴方に、会えたもの」
女は男の胸に身を寄せ、男は痛々しい背中をそっと抱きました。
「会って、助けて頂いて、口づけられて…駄目だと思っても、忘れられなくて…知らなかったこと、たくさん教えてもらって…また会って下さるって、おっしゃって下さって…」
女はふうっと息を吐いて、夢見るように囁きました。

「初めて思ったわ、女に生まれて良かったって」
「……」
「だから、今は、貴方のことを考えるだけで、どこに居ても幸せ…もう少し早く会えてたら、もっと幸せだったのかもしれないけど…そんなの、馬鹿な想像よね?」
目を伏せて悲しそうに笑う女に、男は何と言って良いのか分かりませんでした。

「睦み合うことは痛くも怖くもなくて、気持ちよくて幸せなことだって…抱かれることは、跡継ぎを作るための辛い義務なんかじゃなくって、嬉しいことだって…初めて思えた…」
そこで女は口を噤み、二人は何も言わずにお互いを抱き締め合いました。

「お願い、抱いて…今だけで良いの、貴方がお相手を見付ける迄だけで」
「馬鹿な事を…」
「いいえ。どなたか、良い方を見つけて?貴方はこんなに素敵なんですもの。きっと、素敵なお相手が見つかるわ」
「他の相手なんて」
「駄目よ。ちゃんと、堂々と一緒に居られる人と、幸せになって」
「そんな事、出来る訳」
「私なら、大丈夫よ。私は、今の貴方だけ貰えたら、それで良いの。今の貴方を忘れなければ、この先どんな事になっても、大丈夫だと思えるもの…」
男が絶句していると、女は自分の置かれている状況に不釣り合いな程、幸せそうに微笑みました。

「お願い。もう一度抱いて、中に出して。貴方を、たくさん憶えていたいの。心配しないで?
…身籠もったり、しないから」
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