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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編
「それはあまり宜しい策では御座いませんね。思い留まって頂かねばなりますまい。…私が、毒をお飲みになるのは止めて頂けるように、手配致しましょう」
毒を飲むのを止めさせる事が出来れば、直ちに命を落とすことは無くなります。家令の言葉に安堵しかけた男の耳に、驚くべき事が軽やかな口調で告げられました。

「毒の代わりに明日お二人には、あちら様の御館にある塔の最上階から、身を投げて頂きましょう」

「何だって!?」
思わぬ事を告げられて、男は血の気が引きました。
隣地の領主の館の塔は、昔は罪人を幽閉するのに使っていたという噂のある、曰く付きの建物です。身を投げれば、助かることは無いでしょう。
家令が新たに持ち出した策は、命の危険があるという意味では、効かない可能性が無くは無い毒を呷る方がまだましと言えるような物でした。
殺さんばかりの勢いで睨み付けてくる男を全く意に介さずに、家令は涼しい顔で淡々と説明しました。

「その必要があるのです。服毒などされてしまっては、替わりが調達出来ません」
「…替わり?」
「女の墜死体で御座いますよ」
驚きで言葉が出ない男を余所に、家令は顔色一つ変えずに、明日の天気の話でもするように話し続けました。

「服毒死は、見た目が概ねそのまま残ります。変色、変形するにしても、顔や体の造作が直ちに大きく変わることは有りません。すり替えるには厄介です…しかし、墜死は違います。髪の長さや色を除けば、女の墜死体などどれも大差ありません。服毒死の亡骸に比べれば、調達は遥かに簡単で御座います。言うなれば、選り取り見取りです。毒を飲むのをお止めしても、事態は変わりません。明日逃げ果せても、死体が無ければ隣地の御領主様は納得なさらないでしょう。替わりは、必要なので御座います」
そこまで話した所で、家令はふと困ったように眉を寄せました。

「そうそう、一つだけ。服だけは、お二人とも白い夜着にして頂きましょう。似た物を手に入れるのは、死体よりも服の方が、余程難しい」
「…お前…人間のやる事じゃねえ…」
服装の方が死体よりも由々しき事であるかのように首を振る家令を見て、男は唸るように呟きました。

「ええ。勿論人間などでは御座いませんとも。お忘れですか?貴方様に初めてお会いした時、そう申し上げましたでしょう?」
家令はそう言うと、男に向かってにっこりと笑い掛けました。
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