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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編
「宜しゅう御座います。それでは、お手伝い致しましょう。どうぞ、貴方様の望みを仰って下さいませ。叶えられる物であれば、叶えて差し上げましょう」
男は望みを口に出す前に、一度深呼吸をしました。家令と話して返答を得る間、知らず知らずの内に息を詰めていた様です。ふーっと息を吐くと地に足が着いて、全身が落ち着いた様な気がしました。

「あいつが、明日毒を飲んで自害する」
その一言を口に出しただけで、男の全身にぞくりと怖気が走りました。
(もし、そんな事になったとしたら)
侍女が知らせに来た後何度も思った事を、男はまた考え思いるました。

もしそれが起こったとしたら、その先どうやって生きて行ったら良いのでしょう。
生きて居て会えないのと、この世から居なくなるのとは、全く意味が違います。しかも、女が亡くなったとしても、それが世に知られる事は無いかも知れないのです。男は出会ってからも何度か、幻の様な女だと思ったことがありました。それが本当に幻になったとしたら、どうしたら良いと言うのでしょう。
男は一旦口を噤んで歯を食い縛り、そしてまた口を開きました。

「…侍女が一人で家を抜け出して、知らせに来た。頼む。どんな手を使っても良いから、あいつを永らえさせてくれ」
「望みはそれだけですか?」
「どういう意味だ」
「あの御方と一緒になりたいとは思われないのですか?」
「…それは!」
その事は、思わぬ訳が有りませんでした。
しかし、頼み事の条件として、家の為に生きると誓ったのです家の為に生きる事と女と添う事の両方を叶える事が出来るとは、男には思えませんでした。

「…無理な事は望まねえ。あいつが生きて居てくれさえすりゃあ良い。後は、どうなっても構わねえ」
「殊勝なお心掛けですな。ご立派です。…明日自害なさると、おっしゃられたのですね?」
家令はどこか楽しげに、男に問いました。

「ああ。二人一緒にと言っていた」
「お止めにならなかったのですか?」
「止めたが、役にゃあ立たなかった。来たのは侍女だけだ。こうなった経緯は教えちゃくれなかったが、あいつの肚ぁ決まっていて、絶対に翻らないと言っていた。本人に会えりゃあ何とかしようも有るかもしれねぇが、籠もっているんじゃお手上げだ」
「…お二人は、毒を呷られると?」
「ああ。そう言っていた」
男の言葉を聞いた家令は、ふむ、と少し考える様子を見せました。
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