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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編
それに、男とは長い付き合いでしたが、こんな風に頼まれ事をされたのは、初めてでした。人に頼る事を良しとしない友の唯一と言える頼みを無碍に断る事は、難しい事で有りました。
それらの考えは、この地を守る家の主としては甘過ぎると言うことは、分かっては居たのですが。

「こちらも命掛けで、一生掛けてお前の頼みを呑むんだ。対価として、お前の家業をこの土地の繁栄の為に差し出せ。今後も当主として努めて貰うが、大きな出来事を決定する時は、我が家を初めとする数軒の代表者の承認を得てからにして貰おう。その中には、お前の所の家令にも入って貰う。奴に話を通しておけ」
「…ははっ。凄ぇ条件を考えたもんだな。外だけじゃなく、家ん中でもクロウの監視付きって事か。俺は信用出来ねぇってか」
「夫のある女に溺れて全てを台無しにするような危険を一生抱えようとしている奴を、今迄通りに今後も信用できると思うか?」
「…確かに、な」
「それが条件だ。いつまで、じゃない。一生だぞ。今からお前は終生彼女とは無縁の他人だ。出来ないなら、彼女を家に帰らせろ」
男は一瞬、目を閉じました。

「分かった。少しだけ時間をくれ。今夜、あいつに関わる条件を、俺から話して納得させる。それが最後だ。明日にはあいつをお前に預ける」
「いや、すぐに…と言いたい所だが、こちらにも準備が有る。明日になるのは、止むを得ないな」
友人は、深い溜め息を吐きました。
つい先程までは、このような大それた秘密を抱えて生きて行く事になるとは思ってもみませんでした。
男の企みに荷担する事で、危険や気苦労を背負う事にもなりますが、条件や弱味を握った事での益も有るでしょう。
妻を得て子を成し家族を持ち代替わりをした事で、身軽な生き方には別れを告げた積もりでおりましたが、今日のこの取り引きを境に、気楽な人生には永遠に戻れなくなった気が致しました。

「どうして、そこまで入れ込んだんだ。もっと楽な道が、幾らでも有ったろうに」
代替わりしたての領主は、縛られる事が大嫌いだった果樹園主に、問い掛けるでもなく問いました。
「はっ!楽な道なんざ、クソ食らえだ」
園主は何故か、晴れやかに笑いました。

「順風満帆な人生を送ってるお前にゃあ分からねぇかもしれねえが、罪人になろうが死人になろうが一生会えなくなっちまおうが、どうしても欲しいもんに遇っちまうことだって、有るんだよ」
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