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姫巫女さまの夜伽噺
第7章 癇癪鼠

「言っただろ、ずっとそばに居るって」

志摩が伊良をおろして
後ろからぎゅっと強く抱きしめた。
伊良の頭に顎を乗せると
ぽつりとそう呟く。
その後、素早く伊良の耳をかじった。


「ひゃっ…!」


一瞬にして顔中に血がのぼる。


「一人にはしない。すぐ横にいるから安心しろ」


「それって…見てるって事⁉︎」


見られたいのかよ?
と更に耳たぶを志摩の舌が這うと
伊良の体はだんだんと熱くなる。
逃げるように体をよじれば
逃がすまいとより拘束が強まる。


「…お前の身に何もないか、聞いてるだけだ。
俺はいわゆる添い寝役だ」


「聞いてるだけ?」


それに志摩はそうだと答えて
伊良の首筋を甘噛みした。
お互いが離れがたくなるその寸前で
志摩は彼女の襟元を正す。


「よし、ほら、行ってこい」


掛け声と共に、伊良は戸を開けて
中にぽいっと入れられると
文句を言う暇もなく戸を閉められた。


「え、ちょっ…!なによ、もう…!」


「おやおや、ずいぶんと威勢のいいお嬢さんだね」


志摩にぷりぷりしてたのもつかの間。
その大きな部屋には褥が敷いてあり
ゆらゆらと揺らめく灯りの中
煌びやかな衝立に囲まれている。


その褥に、ちょこんという表現がぴったりな男が座っていた。
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