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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第19章 無口なクラスメイトとの急接近
 心を隠すような彼女の長い前髪が、表情を覆い隠してイマイチ読み取れない。だが迷惑に感じていなさそうな隠微な空気は、そこはかとなく真吾にも汲み取れた。
 やれやれと心の中で真吾はボヤいた。感情の起伏どころか、表情からも解読できない女の子との会話は難解だな……と。

「……どうして?何でそんなに優しく……」
「どうしてって……当たり前だと思うんだけど。こんな状態で遭遇したクラスメイトを、放って帰れる方がどうかしてる」

 彼女の帰りの道中を心配する気持ちは、建前ではない。事情云々が無かったとしても、放っては置かなかったと思う。
 真吾は元から関わってしまった事を放って置けない性質だが、今回はそれ以上に気にするべき問題――堕児の存在がある。
 美奈が寄生されている事実を知った以上は、放置できないという真吾の事情。
 送り狼みたいで気が咎めるが、美奈の状態はもう予断を許さない状況にある。どこでどうするかが完全にノープランだが、途中で考えるしかない。
 美奈は僅かに唇を綻ばせた。

「……うん――そうだね。滝川くんて、そういう人だよね……」

 気づかない程に薄っすらとした微笑みが零した呟きは、どことなく過去に思いを馳せるような懐かしさを響かせていた。
 だが美奈の声は、帰宅で賑わう駅の雑踏に紛れて真吾には聞こえない。

「ん――何か言った?」

 真吾はニコッと、美奈に微笑みかけた。
 スケッチブックを口に当てて美奈は、首をフルフルと振る。
 その様子が不思議で、真吾は小首を少し傾げた。
 何か言ってたと思うのにな……真吾の心には彼女の、柔らかい微笑みの謎だけが残された。
 
「そろそろ立ってるのも苦痛だろ?」
「で……でも……」
「いーから気にしない!行こ?」

 美奈の肩を抱き寄せてやると、腕の中で美奈の身体がピョンと僅かに跳ねた。美奈の思惟を読む事はできないが、このリアクションは理解し易い。
 擬音にすれば恐らくドキッだろうか……?
 人目のある場所での密着の心苦しさに斟酌すると、真吾は少し強引に彼女の荷物を受け取る。
 真吾は美奈に向けてニコリと口角を上げた。
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