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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第19章 無口なクラスメイトとの急接近
 腕の中の少女が、向けられた顔に気づいて驚きを露にする。彼女の顔に、恥ずかしさ以外で理解できる感情を見たのは、はじめてだなと真吾は思った。
 少女は焦ったように腕の中で慌て、そして今にも顔から湯気が立ちそうなほど、見る見るうちに頬が染まっていく。
 腕の中にいたのは、恥ずかしがる仕草が可愛いクラスメイトの女の子。

「大崎さん大丈夫?」

 今も慌てている胸の中の大崎美奈に、真吾は微笑みかけた。
 彼女の表情はあの前髪で良くわからないが、焦っているのは見ればわかる。

「あ――あり……ありがと」
「立てる?」

 頷く美奈を、真吾は地面にそっと降ろした――が、足が着いた途端に美奈の身体がよろっと崩れかけてしまう。

「――おっと……」

 真吾に抱き支えられて、美奈は再び真吾の腕の中に逆戻りとなった。

「ご……ごめんなさ――」

 焦った美奈は、急いで離れようとしているのかジタバタともがく。しかし矢張りふらつくのか、腕の中でよろめきかけた。
 美奈の様子をじっくり見ると、息も荒いし発汗も催している。真吾の見立てでは、もうそろそろ立っているのも辛くなる頃合の一歩手前というところだ。

「何かフラフラしてるね。発汗もあるし、体調が悪そうだよ?」
「だっ……大丈……夫」
「全然大丈夫じゃないじゃん。まったく……家はどこ?」

 言葉に詰まったように戸惑うと、美奈は俯いてしまった。
 本当に彼女が相手だと話が進まないな……昨日の朝に抱いた懸念の通りだと、真吾は溜息をついた。

「僕が家まで送るよ。家はどこなの?」
「そ――そんな……悪いし……」
「そんな状態の大崎さんを、放って帰れる訳がないだろ?」

 と言うと、フッと一瞬顔を上げる美奈。
 しかしすぐに再び恥ずかしそうに俯く――いったい何なんだ。

「だって……迷惑だもの……」
「別に……全然迷惑じゃないよ」

 見つめる真吾を美奈は、刹那の間ボーっと見つめ――また俯いてしまった。本当に何なんだよ。
 美奈は友人ともこんな感じなのか?
 少し強引に進めないと、気づいたら30分経ってました――なんて事にもなりかねないのでは……。

「悪いとか迷惑とか考えなくていいからさ――僕に、君を送らせてくれない?」

 僅かにこちらを見上げて、覗き込むように見ている美奈。
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