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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第2章 予想外の再開
 い――意味がわからない。っていうか、ツレないって何……。
 若干気色の悪い響きを感じて、真吾は身体が総毛だつ思いがした。
 何だ、この悪寒。心の暗部に訴えかけてくるような嫌な予感がヒシヒシとする。
 見覚えが無い事もないような……。
 いかにも体育会系そうな筋肉質なデカい身体と黒い短髪といい、バタ臭さを感じるその表情といい……何となく記憶には残っている気がする。
 そもそも真吾に学校外の同年近辺の知り合いなど、幼馴染と妹しか存在しない。
 それならば、この見覚えのある人物は学校内で出会った人物という事になる。その中で、心の暗部に訴えかけるような嫌な予感を想起させる相手となると、もう100パーセント絞り込めたようなものだ。
 年上で尚且つ学校内で見知った相手となると、中学校の頃の先輩以外にいない。
 真吾は可愛い顔を原型はいずこという程に、引き攣らせた。

 ◇

 真吾は小学生の間の殆どを、女性を避けて過ごしてきた経験があった。
 決して女嫌いだという訳ではないが、小学校の低学年の頃から気づけば女性に触れると怖いと感じるようになっていた。
 触れると何かを思い出しそうで怖い。それが恐怖の元となっていたようだが、何が原因なのか真吾自身にも理解できる記憶がない。
 女性に触れさえしなければ引き起こされる事は無いので、近づかないのが最善の方法だった。
 思春期を迎えた小学校5年生の中頃には、性への好奇心と共にその恐怖もいつしか薄れた。そのお陰で、触れられるまでに回復はした……が、時は既に遅し。
 小学校の4年くらいだっただろうか、根も葉もない妙な噂が流れた。
 真吾の女嫌いは、実はホモだからだという噂――途轍もなく酷い誹謗中傷だ。そんな事実はまるで無い。
 ある時を境に唐突に起こった噂だから、何か原因があるはず。だがその原因を、真吾は突き止めるには至れなかった。
 というか、それを詮索していられる状態には無かったからだ。
 同じクラスというだけの子供の友情関係など儚いものだと思う。女子だけでなく、男子までもが真吾に近づかなくなってしまった。
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