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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第12章 いつもと少し違う朝の日常
「忙しい時なんてランキング入りは無理だよ。テストの時とかね?」

 なんていう何気ない話題で、朝の空き時間は過ぎていく。
 隣の席の結城愛が何か取りに着たのか、友人たちからいったん離れて席に戻ってくる。それに気が付いた宏文は、愛に声を掛けていた。
 人に物怖じしない彼を、真吾は心底羨ましいなと思う。

「おはよ~結城さん」
「はよー、香椎くん――と、滝川くん」

 一緒にいる為に気を使ってくれたのか、愛は真吾にも挨拶をくれた。
 流石に名前を出されたので返さない訳にもいかない。

「――お……おはよう」

 真吾は挨拶を返しながら、恥ずかしさで一杯になっていた。普段でも愛に対してまともに接する事はできない真吾だが、今日は輪を掛けて接しづらい。
 挨拶を返すと後ろめたさで、つい俯き加減になってしまう。
 火照そうになる頬を見られたくない――。
 意識するなと言う方が難しい。
 というのも勿論、何もかも今朝の夢の所為だ。
 普通の夢なら良かった。愛を相手にあんないやらしい夢を見てしまうなんて。
 彼女の声や姿を見ると、否が応にも脳裏に生々しくリフレインしてしまう――感じる顔、腕に抱かれて喘ぐ声……|膣《なか》に射してと強請るスケベな愛の姿を。
 うッ、マズい――股間が……。

「どったの真吾」

 俯いていると不信に感じたのか、宏文が不思議そうに声を掛けてきた。

「い――いや……何でもない」
「ああ、結城さんと話せたから緊張してんの?」
「え?あ……ああ。うん、まあね……」

 別の方向に曲解してくれた宏文に、真吾は内心ホッとした。
 どうしたのと尋ねられても、とても答えられる内容じゃない……。

「可愛いよなぁ、結城さん」

 そう言う宏文の鼻の下も、相当に伸びていた。
 ははーんと真吾は思った。
 イベントが始まって次の日に進み具合なんて聞いてくるからおかしいと思った。

「あ、ヒロおまえ……また僕をダシに使ったね?」
「ふふん、バレた~?」

 こうやって真吾の所に宏文が来る理由の一つに、隣の席の愛の存在がある。愛と席が隣になった2学期からは特に、真吾の席に来る事が多くなったような。
 要するに宏文も同じ穴の狢なのだ。
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