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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第12章 いつもと少し違う朝の日常
 宏文も愛が気になっている……宏文がどこまで本気で愛を好きなのかは聞いた事はない。恋愛の対象として本当に近づきたいのか、真吾のようにただ憧れのまま思っているだけで満足なのか……。

「まぁいいけど……あ、先生来たみたいだよ」
「ホントだ。戻るわ」

 爽やかに手を上げて、自席へ戻って行く宏文。
 他のクラスメイトたちも慌てた様子で皆、自席へと戻っていった。
 その時に偶然、彩夏と目が合った。
 彩夏はどギツイ目で一瞬だけ睨んだ。しかしすぐにツンとした様子で、フイと目を逸らす。その様子に真吾は何だよ……と、口を僅かに尖らせた。
 怒ってるように見えるけど、気にはされているという事なのか……?
 彩夏の後姿にぼんやりと思いながら、教壇に立つ理沙に真吾は視線を戻した。理沙の隣りに見慣れない女子が立っている――転校生……?
 背中まである燃えるような赤毛がかなり目を惹く。顔も結構な美人だった。

「転校生を紹介する。自己紹介して」
「ライラ・C《クレア》・霧島《きりしま》デス。父が日本人で母がアメリカ人のハーフで、3ヶ月前までアメリカに住んでマシタ。日本語は習ってマシタが、まだ不慣れデース。ヨロシクお願いしマース」

 自己紹介を終えたライラは、片言と不釣合いな綺麗な笑みを浮かべるとペコリとお辞儀した。クラスの男子共は色めき立ったが、女子の半数はライラが美人だからか面白く無さそうな顔をしている。
 真吾は変なのが来たなァという感想と、女子の転校生という部分で気が重たかった。堕児の餌食になられて困るのは真吾だからである。

「席は……ああ、佐川の隣りが空いてるな」

 という理沙の言葉に、佐川大樹《さがわたいき》はガッツポーズをする。佐川以外の男子たちはガックリ肩を落とし、真吾はそりゃそうだろうなぁと思った。
 佐川は何せ女子にモテモテのイケメンで手も早い。噂でしかないが、彼女を結構とっかえひっかえしてるという話は学内でも割りと有名だ。
 そんな佐川の隣りに美人が来たのだから、佐川がライラに手を出さない理由がない。クラスの男子共ががっかりするのは当然だった。
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