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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第16章 委員長は責任感が強すぎる
 ホームルームが終わりを告げる。
 クラスメイトたちは、帰り支度や部活へ行く支度に取り掛かる。それを尻目にノートや教科書を鞄にしまっていると、真吾の席の前に誰か立った。
 顔を上げると、そこには彩夏が見下ろすように立っていた。
 何も言わない彩夏に業を煮やし、真吾は仕方なく自分から声を掛けた。

「委員長、何か用なの?」
「うん……。ちょっと聞きたい事が……」

 彩夏の表情に何か躊躇いを感じる。その表情《かお》は……聞きたい事だという内容に関係しているのか?
 それにしても、意外とすんなり言葉が出てきた。
 あれから一日挟んでるし、どうかなと真吾は思っていた。彩夏に対しては、もう緊張もしなさそうだ。

「で、何が聞きたいの?」

 先を促しても、彩夏は取っ掛かりが掴めなさそうに戸惑っていた。

「先生に話があるから、僕としては早く終えて欲しいんだけど」
「わ……悪かったわねっ、手間取らせて!」
「誰もそこまで言ってないよ。まったくもう、意外と委員長、気が短いよね……」

 彩夏が声を荒げた所為で、横を通るクラスメイトが変な目で見ていく。
 止めて欲しい……目立たない男子という位置づけの自分と、クラスの委員長という組み合わせは、ただでさえ異色だ。目立ちたくないし、もっと穏便に話を終わらせて欲しい。
 真吾はグッと、声のトーンを下げた。

「あの生物に関する手掛かりのようなものを知ったから、先生に相談に行きたいんだよ」
「えっ、手掛かりなんてあるの!?」

 凄い食いつきようだ。
 理解の及ばない生体の手掛かりなんて、確かにどうやってと考えるのは至極当然だし、気持ちはわかるが声が大きい。
 クラスメイトの注目を集めそうになって、真吾は慌てて彩夏を嗜めた。彩夏は気まずそうに謝ったが、驚くような言葉を続けた。

「話が終わったら……私も一緒に、先生のとこに行くわ」

 一緒に行きたいという、彩夏の言葉が意外だった。しかも断定かよ。
 一般的な女子の思考としては、関わる事を普通は嫌がらないだろうか。
 どう考えても危険人物の自分に話し掛けるなど、真吾はそこからしても彩夏はおかしいと思っているのに……矢張り彩夏は、どこかズレてるなと真吾は思った。

「こんな意味不明な事に関わるつもり?」
「だって気になるもの!私だって無関係じゃないのよ?」
「そうかもしれないけど……」
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