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第1章 詩織・16歳（初夏の出来事

詩織は酒の共になる『惣菜』を作る家に生まれた、近くに代々続く酒蔵の問屋が贔屓にしてくれたことで、売り上げも良かった

だから自転車に乗り女学校にも行けた、あとはどこの家の息子が嫁にしたいか―言い出すのを待つのみ

それだけ詩織は良い女に育った、その詩織を酒蔵問屋の当主の直樹も見ていた

直樹は40になっていた、妻も居たが、あまりの妻のヒステリックな性格に疲れていた

もう少し若ければ詩織を嫁にしたいと考えるほど、惚れていく

そんな時に詩織の父親が大博打をして大損し、店を乗っ取る奴らが集まりだした

しかし惣菜作りの天才である詩織に父親に対し、直樹は詩織を愛人‥妾として引き取る、その代わりに借金を穴埋めすると申し出た

詩織の両親は愛娘を嫁がせずに直樹の愛人‥妾にすることは悩んだが、結局は詩織を送り込むことを決意した

詩織は直樹を知っていた、父親よりも年上の男、酒蔵の当主として凄い男だと、幼き頃から思っていた

淡い初恋のような気持ちも少しは持ち合わせていたことで、あまり抵抗は感じず、直樹が用意をした家に越した