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身代わりの夜
第14章 熱愛目出し帽
「知らない男に襲われるって、昂奮しませんか?」

 低い声で言われる。
 フェイスマスクは口のあたりに穴がなく、ニット生地がもごもごと動いた。
 マスク越しのためか、いつもと声の感じが違った。

「課長……お好きでしょう、こんなのが」

「え? や、やだ……」

 先日のオフィスでの情事を指しているのだとわかった。

 あの時は手首を縛られての目隠しプレイに、とんだ醜態をさらした。
 職場で全裸になって部下と交わり、アクメしてしまった。

 ただイッたのではない。
 ひいひいと卑猥な牝泣きを絞り、身体じゅうをはしたなく痙攣させて、これ以上ないくらい淫らにイキまくってしまったのだ。

 意識を失うほどの絶頂など、これまで経験したことはなかった。
 思い出すと、全身が羞恥で火照る。

(すっかりM体質だと思われちゃったみたい)

 我ながら思いもよらない反応だった。
 本当にMッ気があるのかもしれないと、ちょっぴり心配になる。

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