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身代わりの夜
第14章 熱愛目出し帽

* * *

 全身、汗だくになって、啓太はベッドに倒れ込んだ。

 息が荒かった。
 全力疾走した後のように、いつまでも呼吸が整わない。

 フェイスマスクをめくって、顔を半分出す。
 新鮮な空気が肺を充たし、すこしだけ楽になった。
 同時に、生々しい男女の淫臭が鼻奥を刺激した。

(……すごかった)

 陰部は上司の淫液でべっとりに濡れていた。
 陰嚢まで、ねとねとだった。
 やりつくしたという達成感はあるのに、どこか気持ちが充たされなかった。

 隣りでは、亜沙子も同じように、はあはあとあえいでいた。
 わずかに離れた空間を通して、火照った体温が伝わってくる。

 乱れたシーツの上に仰向けになり、長い脚がだらしのないひし形に開いたままだった。
 恥裂が丸見えである。
 啓太の放った大量の精液が、とろりと会陰部に垂れたが、気にする余裕もないようだ。

(亜沙子さん……とっても綺麗だ)

 ほんのりと桜色に上気した裸身は、はしたない開脚スタイルであろうと、気品を失っていなかった。

 上向きでも形の崩れない美乳が何度も上下し、かすかに肋骨の浮いた脾腹が苦しげに起伏する。
 縦長の臍を刻んだ腹部も、柔らかそうな内腿も、汗で妖しく濡れ光って、息を呑むほど美しい。
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