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身代わりの夜
第3章 かんちがい口唇奉仕
「いや、だから、それは……」

「やっぱり見たのね。ああ、もう死んじゃいたい……ひううっ」

 いやいやをするように首を振った。

 啓太は必死にフォローしようとする。

「死ぬなんて、そんな……
 ちょっと酔っぱらっただけじゃないですか。
 だ、誰にでもあることですよ」

「お願い……誰にも言わないで……」

 不安げに懇願する。

 手指の間から聞こえる声は、有能で毅然とした女性のものとは思えないくらい儚く、か細かった。

「も、もちろん、言いませんよ」

「約束してっ!」

「えっ、か、課長……うっ」

 突然抱きつかれる。
 気がつくと唇を奪われていた。
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