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身代わりの夜
第5章 同僚の恋人と
(くそ……なんであいつばっかり)

 啓太はウィスキーのグラスを一気にあおった。
 アルコールの強さが喉に焼けつくようだった。

 一人で酒場に来るなんて、めったにない。
 しかし今日は飲まなくてはやりきれなかった。

 古い雑居ビルの地階にある、さびれたバー。

 騒がしい居酒屋だと、よけい落ち込みそうで、大学の友人と何度か来たことのあるこの店を選んだ。
 バーテンダーも無口で、カウンターの隅で物思いにふけるにはちょうどよかった。

 今朝の、山野辺に向けられた亜沙子の美貌が脳裏に浮かぶ。

 いつもはきびしい課長の表情が、優しく包み込むような笑顔になっていた。
 今回のプロジェクトの鍵を握る仕事を、啓太の同期に託したのだ。

 山野辺が客先に受けがいいことは知っている。
 だから、重要な仕事を任せること自体は納得できた。

 納得できないのは、それが昨日の今日だということだ。

 ――おまえ、課長を送っていって、なにかしたのか?

 山野辺のにやにや笑いが、眼に焼き付いている。

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