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牝獣の哭く夜
第19章 白百合の臓腑
「そのかわり、あいつを部屋から追い出して……
 ふ、二人っきりで……」

「この女、僕にケツ穴を差し出すってよ。
 どうする?」

 眼に残忍な色を浮かべて、沼田に声をかける。
 それから、いきなり片手で美貴の髪を鷲掴んで、上向かせた顔を覗き込んだ。

「馬鹿が。恋人きどりのつもりか。あん」

 涙に濡れた明眸が生気を失い、おろおろと動転した。

「おまえは恋人でも愛人でもない。
 僕の女になる? 笑わせるな。
 おまえは道具だ。単なる快楽の道具、欲望のはけ口にすぎない」

「どうして……こんなに、こんなに……」

「おまえの気持ちなんて、どうでもいいんだよ。
 この澄ました貌が屈辱に歪むのを見たいだけさ。
 ちょっと美人で才能があるからって、自惚れるな。
 飽きるまでは、しばらく使ってやるから、せいぜいはげめ」

「ああっ、ひ、ひどいっ……ひどいいっ……」

 血を吐くように叫び、口惜し涙を流す。
 身体ばかりか、心まで踏みにじられて、理知的な美貌が悲痛に歪んだ。

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