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滲む墨痕
第3章 雪泥鴻爪

「若い頃は主流に近い方法で書いていたのですね。万人に受け入れられそうな」
「うん。だから多寳塔碑は顔法入門に適した法帖といえるでしょう。真卿が伝統的な書法を学んだうえで、独自の書風を打ち立てていったのだと窺い知ることができます」
「あ、先生が昨日仰っていた……書写の基礎を身につけてこその書道、ということですか」

 潤がそれを思い出してとっさに口にすると、藤田は満面の笑みを浮かべ頷いた。

「覚えいてくれたのですね」
「もちろんです」
「ははは。真面目だなあ」
「そんな……普通です」
「真面目です」

 なぜか愛おしげな眼差しとともに彼はその言葉を繰り返すと、手にしている法帖を机の上に戻しながらこう続けた。

「潤さんが顔真卿の書に惹かれたのはなぜでしょうね」

 穏やかな、しかし好奇心を含んだ声。それは質問のようでも、独り言のようでもあった。

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