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滲む墨痕
第4章 一日千秋

 居間に戻った潤は、こたつテーブルの上にバッグと冊子を置くと座布団に膝を落とした。バッグのファスナーを開けて薄い長方形をした漆塗りの箱を取り出し、ふたを開けると、仕切りの中にきちんと収まる書道用具が姿を現す。
 硯、固形墨、文鎮……その中から陶器製の水滴を手に取り、立ち上がると部屋を出て台所に向かった。玄関のすぐ隣に位置する板張り床の二畳ほどの狭いスペースで、使い勝手がよいとはいえない。
 洗面台という気の利いたものがないこの住まいでは、料理だけでなく歯磨きや洗顔など水を使うときはすべて台所で済ませざるを得ない。ちなみに、風呂もないため母屋で借りている。東京にいた頃には想像もできなかった暮らしだが、生活が落ち着くまでの辛抱だと信じて順応してきた。

 潤は流し台で手を洗い、水滴に水を入れると、ぎしぎしと音を立てる床を踏みしめて台所をあとにした。

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