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第1章 プロローグ

「マムは帰ってこないわ。このアパートも引き払っているし、電気も止める手続きをしてあった。
私に後始末をさせるつもりだったのね。」

翌朝来たアンは、ジョアンナにテレビを見させて、またマムの寝室に連れ込まれて話してきた。

「だから、あなたたちを教会に連れていくわ。」

そう言って俺とジョアンナに必要な物をまとめるようにいい、俺達を連れて街を出る。

ジョアンナはお気に入りのぬいぐるみを、俺は勉強道具とアルバムを持った。

街を出て、来たこともない隣街の教会に連れてこられた。

教会がやっている孤児院、それがどんなところかも知らなかった。


アンが担当の牧師さんと話している間、俺達は待合室のようなところにいた。
本やオモチャが沢山あって、ジョアンナは喜んでいたが、どうやらあの家にはもう帰れないのだということがわかった俺は喜んでなどいられなかった。

アンが牧師さんと一緒に戻ってきた。

一言、『じゃあね。』と言って帰ろうとした。

「アン、家に帰らせてよ。」