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美女の危ない立回り
第1章 美女の危ない立回り(プロローグ・大学4年の春)
ミディアムレングスの髪が揺れる度に甘い香りが立ちめいた。
膝位の高さの机の上には空けられたビールやチューハイの缶が大量に転がっている。
予期していない来客だったのだろうか、男子大学生の1Kの部屋は最低限しか片付けられていない状態であった。
玄関の内側には黒系の男物の靴が複数乱雑に脱いである。
その中にオフホワイトのヒールが2足揃えられていた。踵部分が3~4センチある上品なエナメル質のヒールで光沢があった。玄関前の暗い中でも部屋側の光を受けてテカテカと光輝いていた。
ヒールの持ち主は天井に向けた背にライトの光を受けていた。
真っ白なキャンバスは頭上のライトの光を受けてテカテカと輝いていた。
ヒールを剥ぎ取られた膝下は床の上で小鹿のように軸が安定せず、今にも崩れ落ちそうになっている。男はそんな膝下には全く気を遣わず、キャンバスが滑り落ちてしまわないよう括れている部分を両手で掴み上げる。
ヒールの持ち主は崩れ落ちないように必死でベッドの縁にしがみつく。男はキメの細かい上質な素材感を下腹部で受けていた。ある一定のサイクルで、それは入り込んでくる。ここだけ世界から切り離されてしまったような、終わりの見えない逢瀬が意識を徐々に浸食していった。
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