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お披露目の会の余興の話(くすくす姫後日談その5のおまけ)
第1章 お披露目の会の余興の話
 サクナの屋敷でのスグリ姫との婚約披露の宴は、和やかに進んでおりました。

 入場した際に思わぬ拍手で迎えてくれた人々は、挨拶周りの際にも温かく祝ってくれました。それは、姫の噂や前評判の事を考ればかなりの厚遇でしたが、それには入場の際に領主がまるで父親の様に姫の手を取っていた事や、領主の娘であり他人に厳しい事で有名な「水晶の薔薇」たるローゼルが入場の際に拍手を贈った事などが功を奏しておりました。
 やがて挨拶回りを終えた二人は、気安い人々の集まっている場所にやって来ました。

「疲れたろう。少し休め」

 姫は疲れている様子は見せておりませんでしたが、サクナは姫を椅子に座らせたり、ヴァイオレットに飲み物を持って来させたりと、姫の世話を焼きました。

「ありがとう、サクナ。…ローゼル様、先程はありがとうございました」

 姫は自分を気遣ってくれたサクナに微笑み、次にローゼルにも微笑んで、それぞれに御礼の言葉を伝えました。

「先程?私、何かしましたかしら?」
「ええ。入ってきた時に、拍手を…嬉しかったです」

 姫がそう言って笑うと、ローゼルはそっぽを向きました。

「あれは、お行儀的には間違いですから、どうぞ忘れて下さいな。私は、ビスカスの尻拭いをしただけですし」

 ローゼルは、決まりを破ったのは自分の本意では無かったとばかりに、最初に拍手をし始めたビスカスをじろりと睨みました。

「スグリ様、申し訳御座いません。お披露目の会で入場される際には拍手などしないと、存じては居たのですが…胸がじーんとしてしまいまして、つい」

 ビスカスが余所行きの言葉で言い訳をすると、姫は頭を振りました。

「いいえ!本当に嬉しかったわ!あんなに温かく、迎えて下さって…」

 姫がそう言って目を潤ませると、控えていたバンシルが左手に手巾を握らせ、ほぼ同時にサクナが右手をきゅっと握りました。姫を挟んだ二人は、姫の頭上で一瞬軽く睨み合いました。

「本当にありがとう、ビスカスさん。私、ビスカスさんとお友達になれて、本当に良かったと思うわ!」
「…お友達…」

 姫の言葉に、三名ほど苦虫を噛み潰した様な微妙な表情になり、一人は面白そうに笑いをこらえ、言われた本人は慌てました。
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