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お披露目の会の余興の話(くすくす姫後日談その5のおまけ)
第1章 お披露目の会の余興の話
「つまり、お前が初めてなのに上手く踊れたって事ぁ、俺との体の相性が良いって事だ」
「…それっ!…それっ…お客様もみんな、分かって見てるのっ…?」
「あ?分かってんに決まってんだろ」
「ぅぇええええ!」
「披露目の会や婚礼やなんかで恋人や夫婦が踊る時にゃあ、どんだけ自分達の相性が良いかを見せ付ける為に踊んだぞ?」
姫は椅子の上で、顔を覆って崩れ落ちました。

「ううう…先に言ってよ…!今ごろっ、恥ずかしいっ…!」
「まーた恥ずかしいのかよ。恥ずかしく無ぇだろ、むしろこれから結婚しようって奴等が下手クソだったら考え直せって位の踊りだぞ」
サクナは姫の髪に手を伸ばし、少し考えて止めました。頭を撫でたい所ですが、髪を崩してはバンシルに何を言われるか分かりません。妥協して姫の背中に手を置くと、よしよしと宥める様に撫でました。

「…じゃあ、ローゼル様は?」
「ん?」
「…ローゼル様と踊った時っ、上手だったっ…」
「まーだ妬いてんのか?この、焼き餅焼きのお姫様め」
サクナはクッソ可愛い奴め、と崩れた姫を抱き起こし、頬っぺたが膨れているのを楽しそうにむにゅっと潰しました。
「んむー…」
「心配すんな、あいつぁ単に踊りが上手ぇんだよ。ビスカスと同じだ、女の一位だぞ。いつでも、誰とでも、上手いこと踊れる」
「…サクナ?」
「何だ」
姫は潰された頬っぺたをもっと潰すほど不満げに、唇を尖らせました。

「…さっきから、凄ーく、嬉しそう…」
「そりゃ嬉しいだろ」
「…なんでよー」
「ここらじゃ自分の女を上手く踊らせられるかどうかってなぁ、男の腕の見せ所だからな」
「…そう、なの?」
「そうだ。どこで踊るんだろうが、俺以上にお前を上手く踊らせられる奴なんざ居ねぇよ」
そして、宴席だろうが閨だろうが姫が踊る相手は自分だけだと言う事を、堂々と周り中に知らしめる事が出来たのです。これで姫に手を出そうとする男は居なくなった…かどうかは定かでは有りませんが、減ったことは減ったでしょう。

「踊りのお相手が、ビスカスさんでも?」
「当然だろ。ま、お相手なんざ絶対させねぇけどな」
「ふーん?…あ。ねえ?」
「何だ?」
「ローゼル様と踊りの最後が違ってたのは、どうして?」
「あ?」
「ローゼル様はくるっとして離れたけど、私はくるくるして、ぎゅうって」
「ああ」
サクナは姫の頬っぺたを愛おしそうに撫でました。
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