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…俺とあいつの処方箋…
第1章 失恋記念日
バイバイの意味を聞く俺に奈緒美は振り返りすっきりした顔で友達だと答え、
学院外の通りに停まっている車へ走っていくようだ。
あの車の持ち主が奈緒美の新しい彼?

鉛筆や消しゴム・スケッチブック・定規・B3パネル等授業に必要なそれらが入ったB3のポートフォリオを抱えた左手を見下ろした。

「勉強とバイトばかりでつまんない」――波瑠は奈緒美の言い放った捨て台詞を脳内で繰り返す。

『奈緒美だって、奈緒美だって同じ勉強受けてんだろうが!』

2教科が終わり帰宅する為に学院から出ようとしている男女が同情と好奇の目で波瑠を見ていく。

『つまんない男か…』

苛立った気持ちは波瑠だけだというように学院の外の通りは夕方の、
今から帰る今からアフターを楽しむリラックスムードを漂わせ行き交う人々が笑ってる。

波瑠は歩き出した。

奈緒美…
キスしなかったのがいけなかったのか?

俺は振られたのか?
バイバイってそういう事…

授業と課題とバイトをこなすだけで毎日いっぱいいっぱいだってのに…
奈緒美はキス以上の男と女の関係を望んでいたのか‥‥‥‥‥

昨日までは彼女らしく俺のクラスにきてべたべた体を触ってた奈緒美――

奈緒美は俺の彼女だと疑いもせず‥‥‥‥‥

『今の俺には恋をする余裕等ないって?
いきなり振られるってダメージきついわ…』

俺とうぶん恋なんてしない!

波瑠は通い慣れた道をそんな考え事をしながら学院から15分、
バイト先のドアを開けた。
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