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ROCKな彼女
第13章 Sudden impulse
先に静寂を破ったのは彼女だった。
《市原……もぅ帰らないと…》
彼女は困ったように切り出す。
そりゃそうだ
薄暗くなり始めた空間は
彼女にとっては不安でしかない。
《じゃあ…帰ろっか?》
この頃から僕はヘタレだった。
手を繋いで歩き出す。
彼女の家の近くまで付いてきてしまう。
ここはもう
家まで送るしかない!…のか?
彼女の気持ちを
汲み取りたくて顔色を伺う。
《も…ここでいいよ?》
彼女は遠慮がちに
そう言って手を離した。
僕はなんて声をかけようか
離れた手をもどかしく感じながら
言葉を探していた。
するとほんの一瞬
触れる柔らかな唇。
《…また明日ね?》
彼女は照れながら
手を振って家に帰っていった。