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女鑑~おんなかがみ~
第13章 水揚げ
「お許しください」
「ああ,もうだめです,ああ・・・」
葵は荒い息を繰り返しながら,か細い声で訴え続けた。

初めて触れられる花芯がぷっくりと愛らしく膨らんでおり,細く開いた口からは蜜が流れ出している。
他愛無い少女小説や恋愛小説さえも遠ざけるような禁欲的な少女の身体の奥に,これほど淫乱な部分が隠れていたとは。若槻は,冒険家が奥地で未知の泉を見つけたような興奮と感動を覚えた。
「あ,ああ,もう……」
言葉にならない声を上げながら,葵の背中が弓のように持ち上がり,そしてぐったりと倒れこんだ。
小指の先ほどの小さな穴が,ひくひくと開閉を繰り返しながら蜜を溢れさせている。

「そうか,もう気を遣ってしまったか。可愛い奴だ」
若槻は攻めるのをいったんやめて,てらてらと光る花の奥に見とれた。

*************
が,そのとき,予想もつかなかったことが起こった。両手でつかんでいた足がバタバタと動き,若槻の腹を蹴り上げて逃れた。正気を取り戻した葵は畳の上に逃れ,正座してうずくまった状態で,寝床にあった赤い肌布団を剥がして背中にかぶり,まるで手も足もひっこめた亀の子のようになっている。
「いや,いや,怖い,いやだ,怖いよ,いやだよ」
「おい,どうした。もう少しの辛抱・・・・・」
「嫌だよう」

これまでずっと抑制的で大人びていたのとはまるで別人のようで,三つや四つの幼子のような声で泣き続けている。
気を遣ったとたんに,赤子に戻ったのか,と思っていると,騒ぎを聞きつけた夕顔がやってきた。
「葵ちゃん,可哀そうに,もう無理しなくていいのよ。葵ちゃんには無理よ。
旦那様,お許しを,私が代わりにお相手しますから,どうか……」

この夕顔はなんて人が良すぎるのか,それとも…。
彼女が売られてきてからの経緯も知っている若槻はあきれながら,
「だめだ。君は戻りなさい」と言い放ったが,夕顔は
「ひどい,こんなに泣いているのに可哀そう」としつこく食い下がる。

そうしているうちに今度は,帳場にいた千鳥が入ってくる。
「どういうつもりなの。覚悟ができているって言っていてこの不始末はなんですか。」
千鳥は亀の甲羅のようにかぶっている布団を強引に引きはがそうとする。さすがは女将の代役を任されているしっかり者だ。
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