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女鑑~おんなかがみ~
第15章 幻滅
しかし,百合子の母の話はなかなか要領を得ませんでした。
それはどんな絵でしたか,と繰り返し尋ねましたが,母親はただ,恐ろしいことだ,自分の責任だと詫びるばかりでした。
そしてこの母親は,「おそらく,百合子は姦通の罪をすでに犯しているかもしれない。娘が罪人になったのでは,私たち夫婦は恥ずかしくて生きていることができない」とまで申したのです。

私は,「姦通罪は親告罪です。刑法(※)では夫が告訴すれば二年以下の懲役と定められていますが,百合子さんの夫である私が告訴しない限り,罪に問われることはありません。私は,百合子さんがそのような罪を犯したとは思いませんが,もし仮にそのようなことがあったとしても,私は百合子さんを姦通罪で告訴するつもりは決してありません。私との結婚を続けたくないのであれば離縁しますし,続けたいのであれば,この間に何があったとしても受け入れます」と言いました。
百合子の母親は,それを聞くと頭を地面に擦り付けるようにして詫び,私は,何とか母親を慰めようとするのに精一杯でした。

しかし,なぜあのような清らかな百合子さんと姦通という言葉が結びつくのか,私には全く見当がつきませんでした,
「私は,百合子さんに限って,そのようなことはないと思います。あれほど清らかな女性が,姦通などと・・・。
一体,お母様は何か心当たりがおありなのですか」
母親は,かなり躊躇していたのですが,
「百合子は幾度か,同じ級にいた五助くんという男の子を家に連れ帰ってくることがありました。
学校をお休みしたときの補習を,その男の子と一緒にしていただいたらしいのです。
親がおらず食べ物も与えられていないと聞いて不憫に感じ,私もときどきは食べ物を与えたことがあります。しかし,私が目を離したすきに,娘とよからぬ遊びをしていたことに気づきまして,それ以降は,家に入れるのを禁止しました。
しかし,裁縫女学校に行ってからも,人目に付きにくいところで会っているという噂が近所から伝わりました。
主人は,このような噂がたっては大変だからと,先生のような方に嫁入りさせるよう,急がせたのです。
もちろん,本人が絶対に嫌だと言えば,無理強いするつもりはありませんでした。
しかし,本人は佐伯先生のことは好きだ,嫁にもらっていただけるのなら嬉しいと申していたので,安心していたのです」と言いました。

※ 戦前の刑法
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