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女鑑~おんなかがみ~
第15章 幻滅
「違う,百合子,悪いのはすべて俺だ,俺が先生の奥様を攫って,こんなところに閉じ込めて,辱めたんだ」横から五助が叫びます。

「五助さん,私が自分で先生に説明します。」百合子がはっきりとそういうと,ようやく五助は黙りました。
「私は,病気で寝ていたとき,たまたま押し入れにあった絵を見たのです。それはちょうどこんな風に女の人が縛られている絵と,女の人が無理やりに足を開かされている絵でした。最初見たときは,怖い,としか思わなくて,すぐに閉じたのですが,また見たくなって開き,そのうちに,自分がこのようにされたらどうなるのだろうと考えるようになり,そのたびに身体が熱くなって気持ちがよくなったのです。
でも,その絵が何をしているところの絵なのかは全くわかりませんでした。最初は,母に聞こうと思っていたのですが,あるとき,そのような絵を枕の下に隠していることが母にばれてしまい,その絵はすべて捨てられてしまい,教科書に挟んでおいた数枚だけが残りました。
私はそのとき,その絵は悪い絵なのだと初めて知ったのです。
そんな悪い絵のことを,両親や先生に聞けるはずはありません。けれど,私はその悪い絵のことが頭から離れなかったのです。だから,この絵を教科書に挟んで五助さんに見せました。五助さんとは,欠席日数が多いどうしで,一緒に補習をしていただくことが多かったので,話しやすかったのです。それに五助さんは,学校でいつも悪さばかりをする人なので,悪い絵を見せても怒らないと思ったのです」
私は,思わず吹き出してしまいました。
あまりにも清らかなだけのか弱い少女だと思っていた百合子の,意外にもたくましい一面を知ったように思いました。

「そこからは俺が悪いんです。お前をこうして縛ってやろうか,と言ったら,百合子がハイと言ったんで,学校の物置で縛ってやったんです。
俺のかあちゃんは昔から女郎をしてるんで,俺も,子どものときから,下足番の手伝いとか,玄関の掃除とか,見張り役の人の使い走りとかしていて,逃げたり客に逆らったりした女を縛るのを手伝ったり,見張り役の人が便所に行っている間,縛られた女を代わりに見張っていたりしてたんです。だから,百合子をそんな風にしてやったらどんなだろうなと思って,つい・・・。まあ,学校の物置でやったらマズいですよね。あのときは申し訳ありませんでした」
と五助。


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