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女鑑~おんなかがみ~
第10章 追懐
女将の話は続いた。
「それで、あるとき、お前は稽古もよくやって、踊りは本当にがよくできる。師匠さんも、こんなに賢い娘はいないとほめておられる。置屋としても鼻が高い、なんて褒められてね、あまりに褒められすぎで何か気味悪いと思ったんだ。
そうしたらやはり続きがあってね。
お前は踊りができるのだから、偉い偉いお客さまの前で披露するんだと言われてね。だから、当然、たくさんのお客の前で踊るのか、あるいは踊りの専門家の偉い先生の前で踊るのかと思って稽古したんだ。
そうしたら客は一人しかいない。前から知っている呉服屋の主人だ。しかも踊りなんてロクに見もしないで酒を飲んでいるときた。それでも一生懸命踊ったよ。
そうしたら、当時のおかあさんがね、この方は、お前さんの踊りの面倒をずっと見てくださるお大尽だから、なんでも言うことを聞くんだよ、と言われてね。まだ十三になったばかりで、月のものもまだだったよ。」
「十三、それはちょっと」
千鳥と朱音は驚いた様子だった。
「そうだね。後で聞いたら、同い年で女郎になった子のほうが、十六か七くらいまでは待ってもらっていたよ。私の場合は、なんでも、呉服屋の旦那が、何にも知らない舞妓を女にしたいのだと言って、無理を通したらしいね。
表向きは売り物じゃないということになっているから、却ってやっかいだね。」
小鶴も
「うちも、そんな感じでした。舞妓になってすぐだから十三くらいで。お姉さんたちもみんなそうしてはったから、そんなものやと思って・・・。
せやけど、その方が急に亡くなられたあとで、そのお知り合いのやくざの親方みたいなお方が突然旦那ということになって、そのお方に身請けされそうになって、おかあさんもちゃんと断ってくださったんですけど、店も置屋も嫌がらせをされるようになったので、こちらで隠れさせてもらって……」と俯いた。
「それは大変だったね。小菊ねえさんも、お人よしでふわふわした人だったから、置屋をまかされてどうしているんだと思っていたけど、ちゃんと小鶴のことを守って、こっちに送ってくれてよかったよ。まあ、向こうでは、芸妓をやめて女郎に落ちたと思われているんだろうけどね。」と女将は笑った。女将は続けて、
「そうだ、せっかく夕顔が丸福の旦那様からせしめた上等のお饅頭がたくさんあるんだから、操子ちゃんも呼んで、一緒にお茶を飲もうか」と夕顔を呼びにやった。
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