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女鑑~おんなかがみ~
第11章 嗜虐
若槻はまた,鴨川で待ち伏せた。
夏は蚊に食われてひどい目にあったが,この前に見た講談では,ご維新のときに,桂小五郎は鴨川で乞食のなりをして隠れながら反撃の機会を待ったらしい。そう思うと,自分も立派なことをしているような気になった。
腐っても鯛,没落しても武士だ。
あのような下品なヒキガエルのような商人風情が,まだ十四歳の姉に手を出すとは何事か。
断じて許すわけにはいかない。

そう思って機会をうかがった。
若槻は子供のころから一度見た顔は忘れないので,遠足から半年過ぎていたが,みやこ呉服の旦那の顔だけは一日たりとも忘れたことがなかった。

そしてついに,着流し姿の男が川沿いをふらふらと歩いてきた。
若槻は,剣道用の竹刀を手にその前に立った。
「貴様は,みやこ呉服主人に相違ないか」
「ん,なんやあんたは」
「若槻久子の弟である」
「ん,だれや?」
「舞妓をしている若槻久子の旦那が貴様だという噂に相違はないか」
「あ,小紫のことか,そういえば,元の名は久子やったな。それがどした」
「久子は武士の娘である。貴様のような卑しい商人が,いかなる了見で,その・・・」
一瞬,言葉に詰まってしまった。
「けったいな(変な)ぼん(坊)やな。ああ,思い出したわ。小紫は弟がいるってゆうとったなあ。それがあんたはんか。そりゃ,しっかり学問に励みなはれや。
帝大に入るのは難しおまっせ。こんなとこで,棒振り回してる暇あったら,学問に励まんと」
なぜヒキガエルがそんなことを知っているのか,ますます嫌悪感が募った。
「貴様は,儂の姉を辱めたのではなかろうな。」
「ん?」
「えらいこと,怖い言い方する奴やな。まあ,そら,へへへ,儂が旦那やからな」
「なんだと・・・」
「ああ,怖,ああ,怖。小紫は,ほんまに賢い舞妓やけど,弟のあんたは阿保やなあ。
まあ,それやったら,教えたろ。」
かなり酒を飲んで酔いが回っていたせいか,ヒキガエルは無駄に饒舌だった。
「儂はなあ,踊りも三味も人一倍稽古して,気の強い小紫に惚れたんや。
ああいう,しゃんとした娘を女にするっちゅうのは,男の夢や。
これまでにも,何人もの娘を女にしてきたが,そのなかでも,小紫は格別やった。
踊りのおさらい会のあとで,旦那は儂やから逆ろうたらあかんって,女将さんから言うてもろたんや。そしたらなあ・・・」
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