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第16章 失

『僕…まだナツと
やりたいこといっぱいあってん…』

『……うん。』

『…ナツとは1枚も写真撮った事ないねん。
恥ずかしがるから…』

『……。』

『…僕……ナツの誕生日も知らへん…』

そう言ってシュージは

手の中に入れてある小さな指輪を握りしめ
肩を震わせた。






アイツは…ナツは…何がしたかった？

何を伝えたかった？

世の中には



今ある時間に悲観し、
必ずくる未来に絶望し

自ら命を絶つ人がいる。



だけどナツは

＂シュージの心を縛る＂


ただそれだけを望んで、
希望に溢れ死んでいった。


この先の未来など見ず、
ただ今だけを閉じ込めて。